〈船木倶子の詩〉

 さようなら

  

別離のときに泪がつたうのは
それまでの昼と夜が
野を駈けたたてがみの蒼い重さが
いっせいにあたりをひびいてしまうから

吹雪のつづく日 うすあかりの敷藁のうえ
おまえとむかっていたけれど
わたしはうたをうたったけれど
おまえの母の おまえのだいじな最初の記憶を
あのときわたしはたずねそびれた

もうおまえは行く
おおきな湖
(うみ)からさようならがあふれる
ごめんなさいね わたしにんげんで

 

    

                       「日本現代詩選 31」

  


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