船木倶子の詩〉  

   立ちどまる

 

 

父の背は地吹雪でたちまち白く

その足跡 (くつあとの半歩うしろにわたしがつづく

道の折れるあたりの吹きだまりで

きまってわたしは名前をよばれ

そうしてわたしを確かめた

  

あのころ一里の山道を

手さぐりだったがひと足ごとに

胸までの雪もかきわけられた

いま 雪のない都会で夜どうし明るい道で

あこがれた細いヒールで

どうしてわたしは立ちどまるのか

行く手をさがしてしまうのか

      

  

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